他人事
令和7年10月
家族で沖縄旅行に行ってきました。
子供達は初めての飛行機で
不安なこともありましたが
楽しく過ごせたことで
ほっとしました。
帰りの飛行機では
台風15号の影響により
2時間前後遅延しました。
空港では私達同様に旅行に訪れた
子供連れの家族がたくさんおられて
子供達が飽きた様子で
大人達を困らせていました。
旅行中はニュースを見ることがなく
帰宅してから知ったのですが
静岡では竜巻や突風被害があり
さらには空港の駐車場が
水没したことを知りました。
そんなニュースの後
台風でもない日に局所的な大雨により
東京や神奈川で
商店街の冠水、河川の氾濫が起こり
妻利用している電車の路線が使えず
帰宅困難になりました。
まさか私たちが
被害を受けることになるとは
思いませんでした。
台風や地震
それに伴う二次被害を体験した方は
皆一様に「まさか」という言葉を使います。
コロナウイルス感染症で
志村けんさんが亡くなられた時には
そんなことがあるのか、と驚愕し
他人事ではないと気づかせて頂きました。
私たちはニュースで知る出来事を
いつどこで起こってもおかしくはないね
と言いながらも
なぜか自分には起こらないと思っています。
仏教には
「一切皆苦」という言葉があります。
この言葉は
全てのものは苦しみである
世の中は自分の思い通りに
ならないことばかりで
この思い通りにならないことが苦しみである
という意味です。
生まれて生きていくことは苦の連続です。
老いていくこと
病になること
そして最後には必ず死んでいくのです。
このことは誰もが
理解はしているでしょう。
しかしこのことすらも
他人事なのです。
日々のニュースで多くの方の
闘病や訃報や被害を目にしながらも
自分はまだ大丈夫だろうと
根拠のない自信を持っているのです。
私たちは必ず死が訪れます。
このことを自分の身に当てて
目を背けることなく自覚することで
毎日をより充実させることが
できるのではないでしょうか。
その「まさか」が今日訪れても
驚き嘆き悲しむのではなく
しっかりと向き合うことができるよう
毎日を過ごしたいですね。
記 副住職