白響:令和6年12月 今月の言葉

  山鳥の ほろほろとなく声聞けば 

          父かとぞ思う 母かとぞ思う

 

令和6年12月

 

先月、田舎の母が往生した。

戦前、戦中、戦後と激変する社会の中

家庭を守り、子供を育て、家業を手伝い

立派な生涯だった。

 

遠く離れているため

年に数回しか帰省できなかったが

会う度に口癖で言ってくれたのは

 

「あなたと私は遠く離れているけれど

朝に夕にいつも念じていますよ」

 

その肉声は届いては来ませんが

いつもいつも

案じられている我が身であることに

感謝の思いしかありませんでした。

 

亡くなってから時が過ぎる中

時折、山鳥がないている声を耳にすると

ふと母の声を思い出し

目頭が熱くなります。

 

もう姿、形、香、声は

この世にはありませんが

これからも母の声な聞こえの中で

生かされている命を

大事にしていきたいと思います。